鉾田に遊びに行った時、たまたま通りかかって寄ってみました。
無量寿寺(むりょうじゅじ)という名前は、初めて聞きましたが、仏教の寺院名なんですね。
実はここ以外にも全国に
栃木県真岡市(天台宗)
埼玉県川越市(天台宗)
愛知県知立市(臨済宗妙心寺派)
岡山県岡山市(念仏宗)
といった同名のお寺があるようです。
*無量寿とは、「量りきれない寿命」の意で、阿弥陀如来の意訳。(参考Wikipedia)
鉾田の無量寿寺は、大同元年(806年)に平城天皇の命によって、
勅願所としてつくられたそうです。
*勅願所:天皇の祈願によって、国家鎮護などを祈願した神社や寺院のこと。
もともとは「三論宗」という宗派だったようですが、
親鸞聖人の関東教化の影響を受けて、「浄土真宗」に改宗したそうです。
親鸞聖人は、布教のためにここに3年間滞在したそうですが、
その改宗にまつわる伝説があるのでご紹介します。
[note]承久3年(1221年)、この地の領主高時の妻が難産のため亡くなったが、
成仏できず、幽霊としてさまよったため、寺への参詣者がいなくなった。
そのことを懸念した高時は、妻の魂を供養し、往生させたいと願い、
その時鹿島神宮への参詣のために通りかかった親鸞聖人に御済度を祈願した。
*御済度:仏が迷い苦しんでいる人々を救い、悟りの境地に導くこと。
聖人は、小石2万6千6百12に経文を書いて墓に埋め、その傍らに菩提樹を植えた。[/note]
茨城の史跡は語る(瀬谷義彦 茨城新聞社)
この「女人成仏経塚」と茨城県指定天然記念物「菩提樹」は、
現在も境内に存在するようです。
今回は何の予備知識もなく、帰り際にちょっと立ち寄っただけでしたが、
他のお寺にはない「凄み」が感じられました。
入り口も独特ですが、その先の長い石段をのぼるとこんな感じ。
茅葺き屋根の本堂の建立は、元禄15年(1702年)ごろとされているようですが、
お寺全体が博物館のような趣がありますよね。
鉾田の無量寿寺には国や県指定の文化財も多く残されています。
特に有名なのは、1608年に火災に遭ったため一部残存する
鎌倉末期の絵巻物「拾遺古徳伝」(非公開)。
寺宝「幽霊の絵図」は、毎年8月14日、15日に一般公開しているので、
機会があれば立ち寄って見てみたいですね。
無量寿寺
〒311-1534 茨城県鉾田市鳥栖1013/電話029-136-2732