こんにちは!
今年の秋の紅葉めぐりです。
水戸には偕楽園をはじめとした素晴らしい庭園や公園がありますが、
日本屈指の英国風景式庭園もあるということは、意外と知られていないようです。
それは、水戸市の郊外にある七ツ洞公園です。
水戸といっても那珂市に近い郊外にあるので、県外から車でいらっしゃる場合は、
常磐自動車道の水戸北スマートICか那珂ICで下りると便利でしょう。
しかし、こんなのどかな田園風景の隣に公園があるなんて、初めて来たら驚きますよ。
園内はイギリス式円形花壇「秘密の花苑」を中心としたエリアAと
5つのダムと池からなるエリアBに分かれています。
現在の敷地は約8haもあるそうですが、さらに整備が予定されていて、
最終的な敷地面積は14haくらいになるそうですから、すごい広さですよね!
駐車場は2箇所あります。地図左上の半円形の構造物の前にひとつ。(北側駐車場)
ここからは公園の一部が望めます。
もうひとつは、地図中央下部の芝生広場前。
こっちの方が北側駐車場よりも遥かに広いので、ここに停めることにしましょう。
これが芝生広場。
遊具などもあるので、子連れでも楽しめます。
さて、僕らは森を抜けて散策することにします。光が良い感じでしょう?
歩いているだけで森林浴の効果がありますよ。
森を抜けると、そこは英国式庭園「秘密の花苑」。
これが花苑の全体図。直径50メートルくらいあるみたいです。
じゃ、入ってみましょうか。
まず七ツ洞公園の沿革について。
七ツ洞公園は、1987年に「ふるさとの森整備事業」として整備が開始され、
平成11年(1999年)に開園されたそうです。
その後、老朽化や花々の枯死、2011年の東日本大震災による一部施設の倒壊などによって
かつてのすばらしい風景を失い、荒れ果てていたようです。
そこで開園15周年である今年、財団法人水戸市公園協会が
公園の再生事業「七ツ洞再生物語」に着手したのだそうです。
これも「七ツ洞再生物語」の一環みたいです。
筑波大学の鈴木雅和教授の解説によれば、
ひとくちに「英国式庭園」といっても、時代によって様式が異なるんですって。
18世紀はロマン主義とイタリアの風景画の影響を受けて誕生した絵画的な「風景式庭園」
が主流だったのが、19世紀以降、花いっぱいのコテージガーデンが流行したため、
一般に「英国式庭園」という場合、こちらが連想される場合が多いそうです。
「秘密の花苑」は、19世紀以降の英国式庭園なんですね。
アーチの向こうに見えるのは・・・
素敵なバラ園。
こんな素敵な花苑を日頃手入れしてくださっている、
水戸イングリッシュガーデンクラブの方々に感謝します。
ここも手入れが行き届いていますね。
庭があれば僕もガーデニングしたいですね。
あそこから中心部に入っていけるみたいですよ。
中はまるで迷路のような感じ。
ここが花苑の中央。
日時計ですね。
おや、あれは・・・?
秋は日が暮れるのが早いので、そろそろ風景式庭園の広がるエリアBへ行きましょうか。
秘密の花苑の開苑は17時までです。
さて、お次は地図の中央、池の周囲のエリアB。ここから「風景式庭園」が広がっています。
鈴木雅和教授の解説によれば、 18世紀の英国に誕生した絵画的な「風景式庭園」は、古代ローマや
ギリシャの空想的風景画に憧れた英国貴族が自分たちの庭にそれを再現することで誕生したそうです。
そういうのを「ピクチャレスク」と言うそうですが、 これは18世紀の英国で生まれた審美的な理念で、英国式庭園を語る際の重要なキーワードなんだそうです。
庭園においては「絵画にそぐう風景」、 「絵になる風景」というのがピクチャレスクなものであり、
英国貴族のピクチャレスク趣味が英国式庭園発展のきっかけだったんですね。
七ツ洞公園は、19世紀以降のコテージガーデンである「秘密の花苑」と
18世紀型の「風景式庭園」を併せ持つという点で、極めて稀有なのだそうです。
さらに英国法人による設計、英国からの輸入建材など、
「英国式のこだわり」を持って本格的に作庭されているのもポイント。
美しい円形の構造ですよね。ん・・・?
ここは「ダムE」と呼ばれ、絶えず池の水をたたえています。
奥に見えるのが「ダムD」。本当に絵のようですよね。紅葉したらさぞかしきれいでしょうね。
やってみましょうか。ちちんぷいっ。どうです?いいでしょう!
じゃ、こっちも。ちちんぷいっ。
おおっ。きれい!
この水辺の紅葉がものすごくきれいなんですよ。光が水面にキラキラと反射してね。
あれが「ダムD」。
奥に見えるのは、ダムEのパビリオン。
これは「ダムD」から見た「ダムC」方向の風景。
この池は地形を利用して灌漑用としてつくられた溜池で、
作られた時代はよくわからないみたいですが、1787年には修繕を行った記録があり、
かなり古いものと考えられているそうです。
でも、なぜ「七ツ洞」という名前なんでしょうね。
今日は池に隠れて見えませんが、ここには名前の由来となった史跡があるんですよ。
「七ツ洞の横穴」と呼ばれ、正式名称は「権現山横穴群」。
7世紀初頭のものと考えられているそうです。
では、「ダムC」の方へ行きましょう。
確かにここは自然の湧き水が豊富なようですね。
これは「ダムC」からの眺め。釣り人もいます。パラソルの色が鮮やかですね。
素晴らしい。風景式庭園って本当にいいですよね。
奥に見えるのが「ダムB」です。
これは「ダムC」から見た「ダムD」方面の景色。
あれはパーゴラと呼ばれる建造物。
ここには小さな噴水があります。ちょっと休憩しましょうか。
休憩したら急にトイレに行きたくなっちゃった。階段をあがったところにあったはず。
あれだ!トイレの建物も英国製なのかな?
森の中は木漏れ日がきれいだなぁ。
あれ?道に迷ったみたいだぞ。さっきいたところはどっちだろう?
おや、あれは何だろう。壺の中に何か入っているぞ・・・
お前は誰だ? うわぁ。でた~。助けて! 道に迷った僕が見たものは・・・続きはこちら。
はぁはぁはぁ・・・あれは何だったんだろう?夢?
かみさんはどこにいるんだろう?
あっ、いた。おーい。
ずいぶん遅かったじゃない。どこまで行ってたの?
森のなかで道に迷っていたら精霊が現れて、広場でお祭りをやってて・・・
精霊?お祭り?夢でもみたんじゃないの?それよりもあれすごくない?
うわぁ。すっごいきれい!
奥に見えるのはさっきの「ダムC」だよね。
で、あれが「ダムB」か。
木のてっぺんに何かいるよ。
え?鳥みたいだけど、本物かな?
「ダムB」の方に行ってみようよ。
あの鳥まだいるよ。 あ、動いた。本物だよ。
休憩中なのかな。あそこなら安全だよね。 なんだか考え事してるようにも見えるわね。
あ、飛んだ!
あっちが「ダムA」方面ね。 5番目、最後のダムなんだって。行ってみよう。
なんだか蛇がのたくったような形の流れ方じゃない?
そうだね。
鈴木雅和教授によれば、七ツ洞公園の中央に連続する4つの池の形は
「サーペンタイン(serpentine)」と言い、「蛇がうねったような」という意味なんだって。
あの川もその一部みたい。
自然風景式庭園は幾何学的・直線的な造形ではなく、自然の風景を取り入れて作庭するから、
七ツ洞公園も元々存在した自然の溜池をそのまま活用しているんだって。
イギリスのハイド=パークにもサーペンタインがあるらしいから いつか行ってみたいね。
奥に見えるのが北側駐車場の前の半円形の構造物。
そう。あの下には井戸があって、映画「テルマエ・ロマエ」のロケで使われたんだよね。
山越真実役の上戸彩さんが古代ローマにタイムススリップしたんだったわね。
ケイオニウス役の北村一輝さんが女性と密会したのが「秘密の花苑」だったんじゃないかな。
でもさ、ここで古代ローマを時代背景とした映画を撮れた理由がわかったよ。
18世紀の英国では貴族たちが古代ローマを描いた風景画に憧れ、
その風景を再現しようとして「風景式庭園」をつくるのが流行したけど、
その一環として古代ローマ様式の造形物を作るのも一般的だったんだって。
例えば石積みの井戸とか、木の柱を持つあずまや、廃墟・・・
あれは「フォリー(folly)」と呼ばれる廃墟。
foolishが語源の「ばかばかしいほど役にたたないもの」という意味らしいけど、
装飾用の造形物で、18世紀の英国では庭園に人工的な廃墟を造ることが流行ったんだって。
イギリスの貴族は粋な趣味を持っていたのね!
確かによく出来てるわね。もとからここにあったみたい。
ここも紅葉が見事だよね。
木々の間を通り抜ける光も素敵ね。
水も澄んでいて・・・
ピクチャレスクって言葉どおりだよね。
あ、左下の茂みの前に何かいるわよ。
君も散歩に来たのかい?
今日は本当に来てよかったわ。気分がすごくリフレッシュできたし。
そうだね。水戸にこんな素敵な場所があるって、みんなに教えてあげたいね。
日が落ちてきたからそろそろ帰ろうか。
そうね。どこかでお茶でもしない?
いいね!でもさ、本当にあそこでお祭やってたんだよ。
帰りに広場の前通ったけど何もなかったじゃない。
そんなXファイルみたいな話・・・キツネかタヌキに化かされたんじゃない?
スカリーみたいな言い方しなくたっていいじゃないか!
[note]七ツ洞公園
住所: 茨城県水戸市下国井町2457(検索は「下国井町2201」)
アクセス:
車/常磐自動車道「水戸北スマートIC」から10分、 「那珂IC」から10分
バス/「水戸駅北口」大宮営業所行き→「農業試験場入口」下車 徒歩20分
問合せ先: 水戸市公園緑地課or植物公園[/note]